大納言メモ

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県内の城を歩こう!#6小山城

こんにちは!

本日は小山城を取り上げたいと思います!

 

栃木県には小山城(おやまじょう)がありますが、こちらは静岡県の小山城(こやまじょう)です。お間違えないようにw

 

場所は静岡県の中部、榛原郡吉田町にあります。

前回#5で取り上げた横須賀城が、高天神城攻略のために徳川方が築いた城であったのに対して、今回の小山城は高天神城への重要な輸送拠点となっていた武田方の整備したお城になります。

 

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展望台小山城

私がぜひ見てもらいたい小山城の見どころは「武田流の築城技術」と「展望台」の2つです!

武田流の築城技術の特徴はなんといっても「丸馬出」と「三日月堀」。

大河ドラマ風林火山」でもおなじみ、武田家で軍師的な役割を担っていた智将・山本勘助は、城づくりに際して「小さく丸く」ということをモットーにしていたようです。

少ない人数でも効率よく守ることができることを目指したのだと思います。

そのような遺構が小山城で見ることができます。

ちなみに小山城の改修を担当したのは勘助ではなく馬場信春という人物です。

武田四名臣にも名を連ねる猛将ですが城の設計にも長けており、山本勘助川中島の戦いで戦死してからはその遺志を継ぎ、特に駿河遠江付近の城はほとんど馬場信春の手によって改修されています。

風林火山でも勘助と信春はよく行動を共にしていました。そこで知恵を伝授されたのかもしれませんw)

 

展望台に登ると「丸馬出」と「三日月堀」の遺構がよくわかります。

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丸馬出と三日月堀

「馬出」とは城の入り口の外側に設けられるある一定の広さの空間のことで、周囲に堀をつくり両端に出入口を設けます。

ここに馬(兵)を待機させておき、相手の攻撃が緩んだ瞬間に両端から出撃して攻撃します。

片方の入り口を集中的に攻められた場合は、もう片方の入り口から出撃して敵を挟み撃ちにすることもできます。

守るだけではなく、隙あらば敵を減らしに行こうというのが馬出を作る理由です。

大坂冬の陣で活躍した「真田丸」もこの武田流の丸馬出が原型となっています。

 

 

 

 

 

 

防御力もさることながら攻撃力も兼ね備えた設備です。

馬出を丸く作ることで外側の堀は自然と三日月型になります。これが三日月堀です。

つまり、武田の丸馬出と三日月堀は多くの場合セットで登場します。

小山城をはじめとする静岡県中部の城では武田家の駿河侵攻に際して改修された城が多いので、しばしばこのセットを見ることができます。

 

 

見どころのもう1つは展望台です。

先ほどからあえて「天守」と呼ばないのは「模擬天守」であるからです。

掛川城浜松城の回でも触れましたが、天守にはいくつか分類があり、江戸時代以前には天守の存在しなかったお城に建てられた天守を「模擬天守」と呼びます。

ちなみに小山城の場合、正式名称は「展望台小山城」のようです。

天守と言い張らずに謙虚に展望台というところが良いですねw)

ただ展望台と言っても、中には当地に発給された信玄・勝頼の書状などの武田家ゆかりの品々が展示してあります。

私が訪れた時には武田勝頼のパネルが出迎えてくれた記憶があります…w

最上階の5階まで登れば城の構造や馬出の遺構がしっかりと確認できますし、周囲の地形も確認できますので、どうして武田家がここに城を築いて拠点にしたのかがよくわかると思います。

 

あと地形のことを少しだけ…

小山城は牧之原台地から連なる舌状台地の先端に位置しています。

つまり台地の繋がっている方向以外は崖状になっていました。

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本丸への階段

写真のように急な階段を登らなければいけません。

当時はこの下を川が流れていました。

この川が付近を流れる大井川の支流であったこともあり、武田軍はこの河川交通によって物資の輸送を行っていました。そしてその拠点として小山城が整備されたのです。

展望台に登ることによってそういったことが実感できると思います。

 

模擬の天守ではありますが、展示スペースがあり眺望もよく遺構やまわりの地形がよくわかる、すばらしい模擬天守です。

訪れた際にはぜひ最上階まで登ってみてくださいw

 

 

さて最後に、武田家が小山城を遠江攻略の拠点と位置付けた理由・大井川を利用した武田家の戦略・そして小山城の本当の強さと悲劇…

これらを語りたいところなのですが、それは次の#7諏訪原城の回にまとめてお話しようと思います。

諏訪原城は小山城同様、高天神攻防戦の重要な城の1つで武田の名残がたくさん詰まったお城です。

私の好きな山城ランキングトップ5に入ってくるお城ですw

ぜひ見てください。

 

今回は以上です!

ありがとうございました。