県内の城を歩こう!#4高天神城
こんにちは!
今日取り上げるのは、#4高天神城です!
戦国時代には「高天神を制するものは遠州を制す」と言われるほど、遠江支配の重要な拠点の城で、この城をめぐって徳川家康と武田信玄・勝頼が激しい戦いを繰り広げました。
しかし現在では兵どもが夢のあと…そんな喧噪とは程遠いゆっくりとした時間の流れる田舎の風景が広がっています。
山城ファンにはたまらないお城ですが、そうでない人にとってはただの山にしか見えないかもしれませんw
でもコロナ禍で、「外の空気吸いたいけど人混みは避けたい」という人には山城ってすごくおすすめですよw
新鮮な山の空気を吸えてかつ、人は全然いませんからねw
興味を持ったらぜひ出かけてみてください。
高天神城は遠江国(静岡県西部)の東西のほぼ中央に、南北でみると南寄りに位置しています。
冒頭でも紹介した通り、「高天神を制するものは遠州を制す」といわれる重要拠点です。
今となっては、(なんでこの山がそこまで重要なの?)って感じですが、徳川家康と武田信玄・勝頼親子はこの城をめぐって争います。
そしてこの城での戦いが武田滅亡の引き金を引いてしまったとか…
そんな歴史的にも地政学的にも重要なお城なのです。
城の入口に想像図がありました。図があると本当にありがたいです。
特に山城はイメージがつかみにくいですからね。これあると楽しみが倍増しますw
おそらく高さが強調されていると思いますが、だいたいこのような感じだったのでしょう。
このような図もありました。
年表とお城周辺の砦などが描かれた図です。
特に高天神城の攻防がわかる砦の図、これはいいですね。
お城って、ただ単に強固なものを1つ建てればそれで地域を支配できるかといえば、そう簡単なものではないと思います。
お城には築かれる場所の地理や地形に合わせて綿密な計算が施されています。
ですからそのお城を知るには、周辺の地理や地形、情勢が重要だと私は考えています。
1つの城の構造だけを楽しむのも良いですが、当時の情勢や周辺の地理を知ると「なんでこんなところに城を築いたのか」「なんでこんな城が重要視されていたのか」などの疑問が解決したり、何の関係もなさそうな2つの城が実はある理屈で繋がっていたりと、ミステリーの謎ときのようにどんどん歴史にのめりこんで、城巡りがもっと楽しくなると思います。
すみません。話がそれましたw
高天神城は今川氏滅亡後、徳川氏に従属した小笠原氏が城主となり治めていました。
元亀2年には、武田信玄率いる2万5千の兵に包囲されますが落ちることはなく、「信玄も攻めあぐねた城」ということで名を馳せます。
しかしその3年後の天正2年、今度は信玄亡き後武田家の当主となった武田勝頼が2万の兵で包囲し攻撃してきました。
城主小笠原氏は降伏して城は開城。
「信玄も落とせなかった高天神を父より少ない兵で勝頼が落とした」
この事実は勝頼の力が信玄を上回るものだということを周囲に知らしめることになりました。
しかしこの高天神勝利のおごりが勝頼の暴走を招いたとされています…
この件についてはのちのち、長篠城を紹介するときにでもじっくり書きたいと思います。
さて、武田家の支配下になった高天神城ですが、翌年の長篠の戦いで織田・徳川連合軍に武田が大敗北を喫すると、次第に遠州では徳川の勢力が盛り返してきます。
天正7年、城代に元今川家臣の猛将・岡部元信を入れ、いよいよ徳川との決戦の気運が高まったところで、翌年、ついに徳川勢が高天神城奪還の兵を挙げ城を包囲しました。
上図でもわかるように、徳川勢はいくつもの砦を築き、物資の搬入を完全に遮断しました。
こうなると勝頼は兵糧を届けさせることもできず、自分が兵を率いて救援に来ることももはやできない状況であったため、高天神城の兵たちは10か月ほど籠城したのちに、岡部元信以下城を打って出て全滅しました。
そして後詰(援軍)を送ることができず、結果的に高天神城を見殺しにしてしまった勝頼の信頼は地に落ちます。
もはや武田はこれまで、と離反する武将が相次ぎました。
武田の弱体化によって徳川は駿河まで勢力を拡大し、高天神城は戦の最前線という呪縛から解放され、役目を終えることになります。
こうしてみると、武田勝頼って高天神城に振り回された感じがしますね。
高天神城攻略で家中にひびが入り、陥落で瓦解した。
武田家にとっては重要なターニングポイントのお城だったのではないでしょうか。
最後に城からの眺めを紹介します。
道標というよりは、その方角に何が見えるかという標識ですね。
南アルプスなんて歩いて行ける距離ではないので気を付けてくださいw
2枚目は右手奥に遠州灘、左手には牧之原台地が見えます。この台地の向こう側には武田方が築いた城がいくつかあります。
岡部元信は毎日ここから武田の援軍を待ち続けていたのかもしれないですね…
以上で#4高天神城を終わります!
次回もお楽しみに!
ありがとうございました!